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その他

1.言語の発達

人は出生時の「うぶ声」から言語発達はスタートします。ここでは、言語発達の過程をみていきます。

新生児 信号としての「泣き」 生理的要求。空腹時など。
生後2〜4か月 「泣き」の社会化と「喃語」 生理的要求と社会的要求。おしめを交換し、授乳して空腹に対応しても「泣く」など。
生後5〜6か月 「模倣」による発語の準備 自分で発した音声を反復して楽しむなど。周囲の人の動作や音声の模倣。正しい構音ではなく、全体の話し言葉のリズムについての模倣。
生後7〜8か月 ことばの「理解」をめぐって 自分の名前を呼ばれると振り向くなど。呼びかけ音を正確に理解しているというよりも、周囲の全体の雰囲気、声の調子、リズムなどの反応に近い。
1歳前後 始語の発声行動 「ママ」「ンマンマ」「マンマ」「プァパ」「バイバイ」など
1〜2歳 急激な言葉の発達 語の増加。「ゴハン」「ネムイ」「ダッコ」など
2〜6歳 幼児期の言葉の発達 ことばの急速な発達。

2歳では50〜100語。「なに」「どこ」「だれ」なども。3歳では「どうやって」「なぜ」なども可能。
空間概念。時間概念。3語文や4語文も可能。4歳では3〜4文節(成人の会話行動も3〜4文節)内容や構音を問わなければ、この時期で形式的には整う。
6歳では基本的なことばによるコミュニケーションが可能。なみに、始語の時期が18か月以降の場合は、言語発達遅滞を疑うことになる。
そこで、精神遅滞か難聴のチェックが必要。また、始語の遅ればかりでなく「かかわり」の問題を有する場合、自閉症の疑いも生じる。


2.言語障害

吃音は「流暢性」の言語障害として位置づけられています。なお、吃音と対極的なものとしては「早口症」があります。下記をご覧下さい。

言語障害の定義

言語障害を一括で定義することは困難であるが、次の3つのレベルを考慮して言語障害を定義する必要がある。

機能・形態障害レベル 疾病学的、病理的障害に基づくレベル
能力障害レベル 日常生活場面で必要な技能や行動に基づくレベル
社会的不利レベル 障害者自身ではなく、環境側の問題が障害者と他者との間のコミュニケーション不全に及ぼしている要因

言語障害の分類

発声の障害 声の大きさの障害 声が大きすぎたり、小さすぎたりする状態。
聴覚障害、逆呼吸、呼吸筋の麻痺、反回神経の麻痺、急性喉頭炎、音声衰弱症、ヒステリー性失声症など
声の高さの障害 声が高すぎたり、低すぎたりする状態。
喉頭部分の異常、聴覚障害
声の持続性の障害 声が途切れる、声が震える状態。逆呼吸など
声の音質の障害 鼻音性に関するもの。鼻性増大と鼻性減弱。
共鳴、構音器官の器質的異常とネイルザルカップリング。
流暢性の障害 吃音 繰り返し、引き伸ばし、ブロック、語の分解、挿入、いい直しなどの言語症状と、顔面、姿勢の異常や頭部、体幹、腕、足の随伴運動などの身体症状、さらに吃音に対する自覚や、しゃべる場面への不安といった情緒反応や回避反応などの心理・行動面での症状。
早口症 吃音と対極に位置する障害。早い速度、不明瞭な発音、多少の非流暢性が特徴だが、吃音にみられる緊張や不安、回避反応はほとんど見られない。言語症状を意識していない。文法障害、読字障害、書字障害を併せ持つ。
構音の障害 器質的構音障害 構音器官の生理的、形態的な欠陥や異常。
口蓋裂、舌小帯短縮症、脳性麻痺、麻痺性構音障害、発語失行、発達性発語失行、聴覚障害など
機能的構音障害 器質的構音障害以外の構音障害。構音操作の未熟など
言語の障害 突発性言語発達遅滞 原因となる因子が発見できない場合の言語遅滞。
発達性失語 中枢神経系の機能障害と関連する障害。
精神遅滞 精神遅滞による言語障害。
自閉症 自閉症による言語障害。
聴覚障害 聴覚障害による言語障害。
失語症 失語症による言語障害。

子どもへの接し方

吃音の専門書である「情緒障害児双書・言語障害」から下記を抜粋しました。

<第1段階におけるアプローチの注意点>(ルーパーとマルダー、1964)

  • 子どもの話し方で、周囲の人がいらいらしているのをわからないようにする。
  • 親は自分の子どもを「どもり」とか「吃音」というのをやめる。今のところ話すことがやや困難さをもつ普通の子だと考える。
  • 子どもが話す時はそちらに目を向け、彼が言おうとしていることに関心を示す。そして彼と話すのが楽しいのだという表情をする。
  • よい話し方のために、子どもに不適当な圧力をかけるような練習は避ける。
  • 周囲の人、特に親の話しことばをせっかちにしないようにして、子どもが模倣するためのよいモデルとなる。
  • 子どもの困難性を減少させるのに役立ちそうなトリックやおまじないを教えてはいけない。
  • はじめて会った人や訪問者の前で子どもに話をさせたり、朗読させたりするのを強制しないこと。もし、彼がやりたがっていたら、やらせてもよい。
  • 長々と答えなければならないような質問を彼に求めないようにする。明らかに短い答えが可能であるような質問をする。
  • もし、子どもが自分で流暢に話すことができないということに関してフラストレーションを感じているようであれば、誰でも話すことに困難を感じているということを知らせてやる。