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吃音の評価方法

吃音のアセスメントは次の4種類があります。

発達段階 吃音がどの段階なのか?という評価基準。
  第1段階→本人は吃音を意識していない段階。
  第2段階→吃音を意識しているが、回避反応はない段階。
  第3段階→吃音を意識していて、回避反応がある段階。
非流暢性 どれだけどもるか?という評価基準。
  例 100語中20語をどもった場合・・吃音(非流暢性)頻度率20%
一貫性 同じ語をどれだけ繰り返しどもるか?という評価基準。
  例 1回目100語どもった中で、2回目も同じ語を80語どもった場合・・   一貫性は80%
適応性 何度も同じ文章を読んで、慣れてくれば、どもらなくなるか?という評価基準。
  例 1回目100語どもった中で、5回目に40語どもらなくなった場合・・    適応性は40%

なお、こうした非流暢性(吃音)がどの程度出現したら「吃音」と判断するのか、というものはありません。ちなみに、以下の数値を参考としてあります。

2歳〜5歳の一般的な幼児 吃音頻度→100語中25程度
成人吃音者 吃音頻度→平均値26.2
(1961年 ヤング調査結果)

※ジョンソン(1963)による非流暢性の分類

音、音節、語あるいは句の挿入 「エー」とか「ンー」といった余分な発声が挿入されること
語の部分の繰り返し 「ジャー・・・ジャ・・ジャックと豆の木」
語の繰り返し 「ジャック・・・ジャックと豆の木」
句の繰り返し 「ムカシアルトコ・・・ムカシアルト・・・ムカシアルトコロニ」
ことばの言い直し <「ムカシアルトキニ・・・ムカシアルトコロニ」/td>
不完全な形の句 「ホラ、ボク・・・キミイッタコト・・・ネ、ホラ」
語の分解 ジャックトマ・・・メノキ」
音の引き伸ばし 「ジャー・・・クトマー・・・メノキ」
音の停止(難発) 「・・・ア・・・ジャック」

※一貫性の評価について
一貫性の評価は、吃音行動と条件づけられてきた刺激またはあるきっかけとの結びつきがどれほど強いか、を知る手がかりとなります。

一貫性指数 = 第1回目にも第2回目にも共にどもった語の数×100
第1回目にどもった語の数
適応性指数 = 第1回目にどもった語の数-第5回目にどもった語の数×100
第1回目にどもった語の

吃音方程式

吃音で有名なヴァン・ライパー(1963)は吃音行動の流動性、重篤化、改善・治癒をめぐって次の方程式を発表しています。

吃音行動の頻度や重症度 = ( P × F × A × G × H ) + ( Sf × Wf ) + Cs
M + FL
P penatly 吃音に対して罰が与えられた時、あるいは過去に与えられた記憶がある時
F frustration 欲求不満 経験または記憶に残っているすべてのタイプの欲求不満
A anxienty 不安 不安がある時
G guilte 罪の意識
H hostility 敵意 はけ口の必要な敵意
Sf situational fear 場面に対する怖れ 過去の不愉快な記憶に基づく、場面に対する怖れ
Wf word fear 語に対する怖れ 過去の不愉快な記憶に対する、語に対する怖れ
Cs communicative stress 話すことに関する心理的圧力 話すことに関する心理的圧力の大きな場面(聞き手が立ち去りそうな時、話を中断された時など)、あるいは重要なことをいわなければならない時(伝達責任)
M morale 士気 士気ないし自我の強さ、あるいは自信
FL fluency 流暢さ 本人の感じる流暢さの程度

管理人の考察

上記の方程式で、まず吃音を促進させるものとして、不安・怖れなどの項目があります。不安や恐れが強いほど、吃音が重篤化することになります。しかも、その不安や恐れは、「足し算」ではなく、「掛け算」になっている点が非常に重要なポイントです。
つまり、不安や恐れは、10+10=20という増え方ではなく、10×10=100という増え方になる!吃音促進スピードが俄然高くなる、そういう意味を表わしています。
また、吃音を抑制するものとして「自信」「本人の感じる流暢さ」の項目があります。自信をつけることで吃音は軽減できるわけです。吃音は精神的な部分が非常に・・・大きい!といえるわけです。